ぶんこもにおける「聞く」こと——「こもごころtime」開催に添えて——

この度、ぶんこもで、文学研究科における博士課程とその後に関するミニトーク「こもごころtime」を開催した。

本イベントは、ぶんこも利用者N. Y.さんからの「大学院について知りたい、共有したい」という提案を受け、ぶんこもオフィスのアカデミックフェローである私と、N. Y.さんとで共同で企画・開催された。


きっかけは、ぶんこも利用者同士の緩やかな交流がもっとあると良いのではないかと思っていた私が、利用者からのお便りを受けて始めた「こころランチ」という集まりであった。

「こころランチ」は、お昼休みの時間に昼食を持ち寄って集まろうというものであるが、必ずしも持参しなければならないわけではなく、また集まったからといって絶対何か話さないといけないということでもない、自由な集まりである。


この「こころランチ」に来てくださった方の一人がN. Y.さんであった。

学部4回生のN. Y.さんは、大学院進学に興味があるが、修士課程や博士課程がどのようなものであるか、就職はどうなるのかなど不安があり、学部卒業後は就職予定である。

しかし、大学院への関心は変わらずあり、いつか戻ってきて、大学院に進学したいという思いもあるとのことであった。

また、せっかくなら自分自身が大学院について知るだけでなく、周りの同じような人たちにも伝えたいという思いを持っていた。

「ぶんこもへ」

ぶんこもには、白い箱でできた、コメントカード投函箱「ぶんこもへ」が設置されており、利用者が自由に意見やコメントを書いて投函することができる。

ここに、「昼食を食べている人たちが集まって、一緒にお昼ご飯を食べる機会があっても良いのではないか」というコメントが投函されたことがあった。

入口付近の棚に設置されている

私を含め、ぶんこもオフィスにいるアカデミックフェローは、博士課程を経た研究者である。

N. Y.さんの提案を受け、ぶんこもにてアカデミックフェローの話を聞く場を設けることで、ぶんこも利用者が大学院について知る機会になるのではないかと考えた。

また同時に、アカデミックフェロー個人について知ることもでき、利用者のぶんこもへの親しみがより湧くのではないかと考え、アカデミックフェローにインタビューを行う「こもごころtime」の開催が決まった。


「こもごころtime」では、アカデミックフェローの一人である大木さんに話し手になってもらい、私が聞き手となって大木さんにインタビューしつつ、私も思ったことを話すスタイルにした。

アカデミックフェロー同士の対話を中心としながら、その場にいるぶんこも利用者が質問などを通して自由に参加するという形をとった。

実際にイベントでどのような話がなされたかは、今後公開されるN. Y.さんの記事を読んでいただけたらと思う。

ぶんこもオフィスに掲示されている「こころランチ」のお知らせ


ぶんこもを運営するアカデミックフェローとして、このイベントを行えて良かったという思いに加えて、私個人としても、得るものがあったイベントであった。

私は現在、アカデミックフェローとしてぶんこもにいるが、文学研究科ではなく、教育学部・教育学研究科の出身である。

そして、心理士(臨床心理士・公認心理師)でもある。心理士だからなのか、元々なのかはわからないが、私は、他者の「その人自身」を知るのが好きである。その人個人が何を考え、何を思って生きているのかにとても関心があり、それを聴くのが好きである。

「こもごころtime」では、私が大木さんの話を聞いたが、誰でも自由に聞くことのできるイベントであるため、心理士として聴くような非常に個人的なことまで聞く場ではなかった。

それでも、今までよりも、私は、大木さんのことを知ることができた。

そして、私が大木さんの話を聞く場が、ぶんこも利用者にとっては博士課程やその後について知る機会にもなったと思う。

ぶんこものキャラクター。
ぶんこもにおける、さまざまな「話す」「聞く」「考える」を表しているようでもある。

他者の話を聞くうえでは、その人が伝達する情報を得るという意味での「知る」だけでなく、それを発する本体である、その人個人を感じる「知る」もあるように思う。

コメントカード投函箱「ぶんこもへ」を通して、ぶんこも利用者の思いを知り、
「こころランチ」の時間を作ったことでN. Y.さんを知り、
そして、「こもごころtime」を開催したことで、アカデミックフェローの大木さんを今までよりも知れたように思う。

ぶんこもという、出入りも会話も飲食も自由な場で、これからもさまざまな「話す」「聞く」が行われ、「考える」「知る」によって繋がっていく、緩やかな関係性が広がっていくと良いなと思う。

PROFILE

加藤結芽

ぶんこもアカデミックフェロー。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。臨床心理士・公認心理師。人と人との関係性・つながりに関心がある。ぶんこもにおいて、似たもの・異なるものの交流・対話により「ひとり」以上のものが創造されることを期待して、心理士の視点も脇に持ちつつ運営に携わっている。