イベント概要
北インド古典声楽「カヤール」は、インドに古くから伝わる音楽技法とイスラーム文化との融合から生まれ、中近世、近代インドの宮廷で発展した声楽の様式です。現在においてもカヤールは北インド古典声楽の花形で、コンサートホールに場を移し、人びとに親しまれています。
カヤールは「想像力」を意味し、旋律(ラーグ)と拍子(タール)の規則のもとで、主奏者の声楽、伴奏者の打楽器や弦楽器が、自身の想像力にまかせてその場で音とリズムをつむぎ出します。しかしその自由さは、師から受け継いだ歌と技法を基盤として、長年の鍛錬によって初めて可能になるものです。
本イベントは、カヤールの伝統と音楽構造についての講義と実際のカヤールの演奏から構成されます。
おいしいビリヤーニーとともに、北インドの宮廷文化を感じてもらえたらと思います。
※大盛況につき、フード(ビリヤーニー)のご予約は締め切りました。ドリンク(アイスチャイ)は引き続きご予約いただけます。フード・ドリンク予約なしでのご参加も受付中です。
登壇者

虫賀 幹華(講義・歌)
大阪大学大学院人文学研究科外国学専攻 助教
古代から現代までのインドのヒンドゥー教について、儀礼や祭礼、聖地巡礼をテーマに研究。最近は、19世紀後半以降のヒンディー語出版における宗教の継承および変容に関心をもっている。2014年から2019年までの北インドでの留学中、古典音楽にも興味をもち、2018年よりグワーリヤル流派のミーター・パンディット氏に師事。

井上 春緒(打楽器タブラー演奏)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 特定助教
インドの打楽器タブラー奏者であり、研究者としても活動している。演奏活動やレクチャーを通じて幅広い場でインド音楽の魅力を紹介してきた。研究においては、インドとペルシャの音楽文化の交差に強い関心を寄せ、音楽理論書の分析を進めている。タブラー演奏については、ヴァーラーナシー流派の巨匠スクヴィンダー・シンに師事し、古典演奏の研鑽に努めている。

清水 侑季(料理提供)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 一貫制博士課程
フード・スタディーズの視点から「モダンインド料理」と呼ばれるような新しいタイプのインド料理の展開について研究している。ムンバイではファインダイニングと料理学校を中心に、料理人のキャリア形成・教育制度・消費者に関するフィールドワークを実施。インド料理における食にまつわる権力関係(ガストロポリティクス)に関心がある。京都では「印度乳業」の名義で毎週金曜日に日本の素晴らしい牛乳を使ったチャイとストリートフードの屋台を出店中。